どうも。色々な見方はあるけど全部がそーだと思われたくない気分のヨネイです。
月曜日に放送されてました「プロフェッショナル仕事の流儀」を見ました。
革製品修復職人の女性の方が取り上げられてました。いわゆる革の色を修復する作業ですね~。ヨネイクリーニングの常連様はご存知の通り当店でも修復作業は行なっています。
ただ、、、、
当店のやり方はこのTVでやっていたような作業とは全く違います。
この放送で流れました「革の修復作業方法」や「職人さんの言われてる事」など、多くの当店との考え方の違いが沢山ありましたので、少しこれはブログで発信してお客様に伝えておかないと、、、と危機感まで感じずにはいられませんでした。
批判ではなく、あくまで私どもの意見です。
それを踏まえてごらんください。
革の色を修復するのはハケがメインではない
革というのも元々は、染料を使って大きいドラムのようなモノを使って染められます。
仕上げの必要に応じて、スプレーにて染料を吹き付けて行ったり、染料の上より顔料をスプレーにて吹き付けたりという工程を経ます。
革業界では当たり前です。
つまり、革の製作段階ではどれも刷毛(ハケ)って出てこないんですね(;´∀`)。(独特の風合いを出すのに大きい刷毛を使って最終工程に染料をうっすら付けていくのはみたことありますが…)
修復の作業もやはりハケを使って革本来の風合いを損ねずに色を再現するのはやはり難しく、私も昔に悩んだ末、スプレーでの修復方法を修行して身につけてきました。
革のバッグや靴といったモノは、一枚の革の状態でなく裁断され、縫われて、製品に仕上がってますから、正攻法の修復の方法は難しいのです。ただ、本来の革の製造の流れを考え、革の質感や風合いの事を考えると、、、スプレーガンで革の細かな角質の層の中まで細かく色を吹き付けていかねばならないのです。
なので、当店はメインがスプレーガンを使用。
なのでこんな状態w
超マスクマンに変身して作業を行います。もちろん、子供を現場になんて絶対来させません(笑)。ただ部分的にハケを使う事もありますよ。でもメインではなく部分的にです。
革の色を修復するのは、水性顔料のみではダメ
レザーの製造工場に行けば分かるのですが、 革の製造の職人さん達が沢山の細やかな工程を経て製造された革なので、その色を再現・修復することは、ぶっちゃけ不可能なのです。
ただ、革製品は使用と共に剥げたり、擦れたり、焼けたり、して劣化して持てなくなったりしますので、愛着のあるモノを「何とかしたい…」とおっしゃるお客様のご要望に、最大限近づける色修復をしなければなりません。
となると、ハケで塗り込む顔料だけでは良い状態での復元は不可能と私は考えます。なので、ベースの下地剤から染料、顔料という2種類の色(中でも水性と油性があります)。トップコート剤やらなんちゃらかんちゃら、めちゃくちゃ色々な材料と工程が必要です。だって、革の染色工程も沢山あるんだから。
なので、
うちは基本納期はめちゃくちゃ長いです(ごめんなさい)。それだけしっかりと行わないと、使っているうちに色が剥がれてきます。
一枚の革の状態から行えるわけではないのがこの修復作業ですから、もちろん新品になる訳でなく、あくまで延命処置なのです。それでも出来る限りは長生きはさせてあげたいので、出来る限りベターな方法を取っています。
色をサンドペーパーで何でも擦るのはタブー
まず、キズを増幅させるサンドペーパーを製品に対してゴシゴシ使うのは良いのでしょうか?
キズがあるものに対しては、まず色の吸い込みを止めるための下地剤を使いしっかりと補強するのがまず第一。それからバインダーなどといった色を定着させるものなどを使っていきます。
お化粧で 下地→ファンデーション→フェイスパウダー とう風に使っていくような順序感覚ですね。まず、たわしでゴシゴシ顔を擦らないでしょ?w
なので、うちはよっぽどの事が無い限りサンドペーパーは使いません。サンドペーパーでほとんどのモノをこすっているのを見て、、、ちょいとゾッとしました(;^ω^)。
色を濃い色から薄い色に色替え(リカラー)するのはしません!
基本、革の色を濃い色から薄い色に色替えする事は出来ません。色
当店および系列店すべてお断りしております。
何故か?
簡単に言えば、
色黒の歌舞伎役者さんが、女形をやるため顔を白くするには
お化粧をどれくらいすれば良いでしょうか?
(笑)。どうしても厚塗りになる上に肌の黒色も目立ちますよね。舞台では生えるかも知れませんが(;^ω^)。そして、層がぶ厚いという事は動きに対して非常に弱く、当然、層が割れてくることが多くなります。
また、色が剥げると色黒の冨美男が出てきて余計に目立ちますw。
仕上がったその時は一時的にええかも知れないんですけどね。長い目で見ると寿命は縮み、色も大変なことになっていきます(自然でない経年変化がおきます)。
なので、色替えは基本的に薄い色から濃い色へのリカラーのみとなります。そして、出来る限り元の風合いや質感を生かした仕上がりにしていくようにします。
まとめると…
色々なやり方があって良いと思うのですが、全部がそうだと思われたくはないんです。実際にスプレーガンを使ったり、染料・顔料を使い分けたり、そういったやり方をしてる業者さんは多くおられます。
メディアの影響は…
そういった事実を飛び越えて、全部がそうなんだ、、、と思わせるインパクトがあります。あと、ストーリー性を持たせないと面白くないからと言って大げさな表現をするしね。
ま、自社の宣伝やから仕方ないよね。
なので、ヨネイクリーニングは違うやり方なんだな~~って思ってもらえたらそれでええです。
とまあ、そんなこんなで、
番組を見た私の感想でした。
最後に…
革だけでなく、クリーニングの事もTVやネットでは間違いだらけの情報で溢れてます。我々職人達は影響力は少ないかも知れないけど、正しい情報をお客様や身の回りの方々からでも伝えていかなければなりません。
※また新たに伝えないといけないネタがSNSであるのを見つけました(;^ω^)。
情報は発信しないと呑み込まれる時代に来ていますよ。
立ち上がれ!プロフェッショナルの職人達よ!!!!!(笑)